こんにちは片山史哉です。
3月も終わりに近づき、卒業の季節です。
ぼくの娘もついに保育園卒園です。
先日、以前から撮影でお付き合いがあった静岡のダンスグループBOMBGAMさんのDANCE SHOW CASEにお邪魔してきました。
BOMBGAMさんは以前、動画オンラインサロンAJITOのメンバーでMVで作ったんですが、その動画がけっこう再生されているので是非見てみてください。
サプライズ動画を作りたい
ぼくは以前から友達の結婚式や、お誕生日などサプライズをするのが大好きでした。
けっこう綿密に計画を練るタイプです。
ぼくは、映像を始めてからずっと心に決めていることがあります。
それは映像を通して人の心を動かすということです。
感動を作る、泣ける動画を作る
そんな単純なことではなく、心がグッとなるような作り物の感動ではなく、リアルな想いを映像を通して感じてもらうことが必要です。
経緯
では、どんな映像を作るのか。
この季節で作るといったら「卒業」
しかし、動き出したのは2月下旬。
BOMBGAMの先生に連絡を取り、ぼくの想いを伝えました。
3月中旬に1年の成果を発表する公演があるということで、そこで撮影に入らせていただきたいことを伝えました。
しかし、そこで何ができるんだろう。
アイディア
サプライズにアイディアは絶対不可欠なものです。
ありきたりなことをしても、人の心なんて動きません。
想定の範囲内だからです。
サプライズには良い意味で「裏切り」が必要です。
そのキャストが仕掛け人ということになります。
今回、僕が提案した仕掛け人は卒業する生徒さんのお母さんです。
お母さんという存在
高校生にとってお母さんってどんな存在でしょう。
支えてくれる人?
うっとおしい人?
お友達みたいな存在?
頼れる人?
嫌い?
様々な関係があると思います。
公演では、カーテンコールの後に卒業式を行うというのはご本人たちにも伝えてあったようです。
伝えられた生徒さんたちは、ステージの前に立ち、メッセージをもらい、花束をもらい・・・
という定番のパターンは容易に想像できたと思います。
もちろん、想像はしていたものの、一緒に踊ってきた仲間や先生からのメッセージに感極まり涙涙の卒業式となりました。
その後、卒業する生徒さんたちには僕が撮影に入っていることは知っていたのでインタビューを撮りたいということで別室に待機してもらいました。
お母さんたちの反応
先生から僕の企画を伝えられたお母さんたち。
快くOKをいただき公演終了後に子どもにメッセージをいただけることになりました。
しかし、具体的にどのように行うのか、配置、誰が入るのか、どれくらいの時間撮るのか
ほとんど情報がない中で当日を迎えてしまいました。
直前になるまで僕自身もお母さんたちの顔を見たこともなかったです。
別室に集まっていただいたお母さんたちに僕からご挨拶をさせていただきました。
ロケハンもできずに迎えた今回の撮影。
撮影場所やカメラ配置は当日の朝、ぼくが独断で判断しました。
その結果、1人のお母さんが待機し、そこに子どもが入っていくという流れにしようと決めました。
それを告げられたお母さんたちは、戸惑いを隠せない様子でした。
もちろんそうですよね。子どもと2人で話す。それも、卒業というタイミングで。
自分の想いをうまく伝えられるのか。
自分の子どもとはいえ、覚悟と勇気が必要だったと思います。
これに関しては快く引き受けてくれたお母さんたちに最高に感謝しています。
撮影
ここからは撮影方法や、撮影時に気をつけたこと、撮影環境などを中心にお話していきます。
シンプルに
今回は楽屋をしようして撮影をしました。
実際の楽屋はセンターにテーブルが4つ、椅子が12脚ありそこに座ってもらう方法も考えました。
しかし、テーブルがあることで被写体の姿がお腹から下が映らなくなってしまいます。
今回、親子の対談でカメラもあり、感情が露になることがないケースも十分に考えられました。
それは全く感情が動かないのではなく、我慢しているという状態なのではないかと思いました。
なるべく全身を映し、握る手や脚、気持ちが落ち着かない状態を様々な部分から感じ取られるように設定したいと思いました。
そのためには余計な机や椅子は必要なく、椅子2つという選択肢に至りました。
協力者の存在
今回、撮影はぼくひとりで担当しました。
撮影だけはなんとかひとりでも撮りまわすことができました。
しかし、お母さんを集める、生徒を呼びに行くなどの面でさすがにワンオペでは難しい部分がありました。
そこで協力してくれたのが、高校2年生や1年生の生徒さんたちでした。
ぼくがカメラを設置していると、どうすればいいか聞いてくれて、机を動かすのも手伝ってくれて、ぼくのタイミングで呼びに行き、待機し。
彼女たちなしでは僕はこの企画を実行することはできませんでした。
サプライズを作り出すには協力者が必須になります。
当日手伝ってくれた生徒さんにはすごく感謝しています。
撮影環境
撮影は楽屋に一人のお母さんが待機し、カメラが3台。そして、ぼく1人がカメラマンとして入り、2台は定点。1台を必要に応じて動かすという撮り方をしました。
単純にぼく1人だったというのもありますが、これがスタッフ2名で撮影していたらきっと2名体制で撮影していたと思います。
しかし、この空間は必要最低限。これが絶対条件だと感じました。
できることならば、そこで感情をさらけ出してもいいと思える人が一緒に入るべきであると。
つまり、ここで想いを吐き出すのに躊躇する要素を極力排除する必要があったのです。
個人的に失敗だと思ったのは三脚選びです。
できることなら三脚は使わずテーブルに置いておくくらいの軽量感が必要だったと思っています。
マイクもXLRの仰々しいマイクを使い、ゴツイ三脚を立て、それを向けられていたらどうしても気になってしまいます。
もちろん必要だと思ってその機材を選びましたが、被写体の感情を引き出すには更に広い環境でひっそりと、遠くから狙うに越したことはないのかと思いました。
そこに入る人の役割
究極、定点カメラ3台であとは外に出ていてよかったのではないか。
つまり、ぼくは中に入るべきだったのか。
という問題になります。
僕が入った理由は以下の通りです。
・カメラが撮れていなかったらどうしよう。
・話が途切れてしまったらどうしよう。
・撮れ高がなかったらどうしよう。
つまり、不安だったから中に入るという選択をしたということです。
前述した通り、想いを吐き出すのに躊躇する要素を極力排除するというルールに対して真逆なことをしていました。
では、入らなかった方が入らなかった方が良かったのか。。。というと実際にはそうではなかったと思います。
うまく話ができなくなってしまった時に、過去のエピソードからお母さんに話を振ったり、どうしていいかわからなそうな生徒に目配せでそれでいいということを伝えたり。
基本的には一切しゃべらないスタイルでいこうと思いましたが、必要に応じて話に介入していくことで、思ってもみたかった話が出てきたり、親子で気づくことができたりというケースがありました。
何のために自分がそこにいるのか。
その空間に不要なものは排除し、必要なものになれているのかというのは時と場合によって判断していかなくてはいけないと感じました。
涙=サプライズ成功ではない
このような卒業や別れ、旅立ち、結婚式など
サプライズを演出しようと思ったら最終的なゴールは涙を流している姿を想像してしまいがちです。
ぼくもそう感じていた時はありました。
しかし、サプライズの成功を決めるのは涙ではありません。
ぼくの考えるゴールはその場にいる全員の心が動かされたかということだと思います。
ゴールは対象になる生徒さんだけでなく、仕掛け人になったお母さん、先生、協力してくれた生徒さん、それにぼくも含まれます。
この全員が幸せな気持ちになったか。これがサプライズのゴールと据えて間違いないでしょう。
もちろん、こんな企画ですからお母さん、生徒さん、先生、それから撮影している僕も涙を流していました。
しかし、涙がなかった親子もいます。それは決して失敗ではありません。
生徒さんが入ってきて、ぎこちない親子の会話が始まり、これはどうなるんだろうと思って見守っていました。
すると自然に「楽しかった?」と会話が始まり、いままで長い間BOMBGAMでダンスをしてきたことを振り返りながら話が始まっていきました。
ぎこちなさや照れる様子は最後まで抜けなかったものの、子どもからお母さんへの感謝やお母さんから子供へのお疲れ様という気持ちはお互いに伝わっているんだなと見ている僕自身が感じ、動画でもそれを表現しようと思いました。
サプライズはドキュメンタリーになるのか
サプライズという設定された環境において、ドキュメンタリーというリアルを表現する映像は成立するのか。
答えは「YES」です。
ドキュメンタリーの定義は事実を記録することです。
事実。あらかじめ用意された環境はリアルなのか。
環境にはこちらが作ったいわゆる虚偽があるのかもしれません。
前述したように、サプライズのゴールを全員が幸せになったかという目的で行っているのであれば、その制作過程も含めてリアルであり事実なのではないでしょうか。
サプライズというドキュメンタリーは製作段階から始まっているということです。
映像作品はその一部であり、ドキュメンタリーは映像作品の中から視聴者に想像させる部分も含めてサプライズドキュメンタリーというジャンルになるのではないかと思います。
今後の活動に向けて
今回作品を作らせていただいた中で課題も多く見えてきました。
どうしても時間がない中で進めていかなくてはならなかった企画。
仕掛け人との信頼関係や制作に巻き込む力など、更にステップアップしなくてはいけない部分はあります。
ただ、このジャンルは面白すぎるし、自分自身がやっていて楽しい。
更に幸せになる方を増やすためにもサプライズドキュメンタリーの制作を続けていきます。
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