こんにちは、片山史哉です。
今回はSONYさんのSONY FE 100mm F2.8 STF GM OSSをお借りしてレビューしていこうと思います。
SEL100F28GM | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー (sony.jp)
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こちらの記事をご覧になっている方は、このレンズの購入が気になったり、どんなレンズか知りたい方かなと思います。
そして、なぜこのレンズが気になっているのかというときれいばボケ感ではないでしょうか。
ということで、ボケ感についてを中心にこのレンズについてご紹介していきます。
きれいなボケ感が生まれる理由は『STF』
SONY FE 100mm F2.8 STF GM OSS
こちらのSTFにご注目ください。
このSTFについてわかるとなぜきれいなボケ感が生まれるのかがわかります。
STFレンズの特徴を超簡単説明
STFについてはかなり難しいお話になるので簡単にご説明させていただきます。
カメラのレンズというのは何枚のもレンズの集合体でできています。
例えばこのSEL100F28GMは14枚のレンズで出来ています。
それぞれ収差を補正したり、歪みを補正したりといろんな役割があるわけですが、このレンズにはアポダイゼーション光学エレメントというレンズが入っています。
アポダイゼーション光学エレメントとは
このレンズは中心のからグラデーションを描くように暗くなることで特徴的な玉ボケを演出できます。
玉ボケは夜間の撮影で点光源が玉になって写る現象です。
一般的なレンズで撮影した玉ボケは輪郭がはっきりと出ていますが、このレンズでは中心からグラデーションで溶けるような玉ボケを作ることができます。
これがいわゆる美しい玉ボケとして評価されきれいなボケ感が演出されると言われています。
イメージとしては中心から外にかけて強いNDフィルターがかかっているような感じです。
11枚の羽根で作られる美しい円形
レンズを覗くと見える羽。
こちらは11枚の羽根で構成されています。ここはさすがGMレンズ、点光源がレモン型やかくかくした形にならないように美しい円形を描くよう細部までこだわった作りになっています。
明るさには注意!!F2.8とは言え・・・T値とは。
F2.8・・・まぁ明るい方のレンズかなと思われるかもしれませんが、実際にはF5.6の明るさにしかできません。
これは前述したアポダイゼーション光学エレメントの効果で光の透過率が下がっているためです。
こちらのレンズはT値という透過率を考慮した明るさの表示形式になっています。
そのため、いわゆるF値はカメラ側ではなく、レンズ側でしか操作できません。
カメラ側でもT値の値が表示されます。
では、こちらのレンズはF5.6なのではないかと思いますが、ピントの深さは2.8スタートになります。
当然通常のレンズのようにさらに絞ることは可能です。
しかし、このSTFの効果が出るのはF8までです。それ以上絞ってもアポダイゼーション光学エレメントの段階的なボケ感というのは発揮できず、通常レンズと同じように玉ボケが小さくエッジが出てしまいます。
夜間撮影の作例
実際に撮影をしながら玉ボケを確認してみました。それがこちら。
点光源から綺麗なグラデーションを描き溶けるような玉ボケになっているのがわかります。
なるべく近い設定でTAMRON28-75 F2.8のレンズでF値を5.6に設定して同じ環境で撮影してみました。
比べてみると一目瞭然ですね。
STFレンズを使った方は玉ボケが溶けるようなグラデーションになっています。
それに対して通常のレンズでは玉ボケの輪郭がはっきり出ています。
それにしてもSTFレンズはのボケ方はやわらかいですね。
これ、何かに似ているなと思いませんか?
そうです!ソフトフィルターです。
しかし、ソフトフィルターを使って撮影すると、ボケている部分以外(被写体)もふんわりしてしまい、全体的にソフトな感じになってしまいます。
STFレンズは被写体はGMレンズならではのパリッと感があり、ボケている部分はやわらかくという表現が美しいとされています。
おススメの使い方
このレンズは正直、考えることが多すぎてサッと使うには不向き、または超上級者向けと言えます。
しかし、こんな方にはおススメできます。
・作品としてバッチリセッティングしてから映像を撮る人
・夜間のポートレート撮影でストロボを使いながら撮影する人
・抜けのある物撮りをする人
こんなにはおススメですね!
作品撮り
このレンズ、動画をやっている方もきれいな玉ボケなどを目指して使用してみようとしているかたもいるかもしれません。
その場合、被写体の明るさの確保が大きなポイントになります。
F5.6相当の明るさなので照明や感度を上げられるカメラなど環境面で準備が必要です。
夜間ポートレート
綺麗なボケ感を保ちながらポートレートで人物をしっかり出したい方はストロボがあると場所を選ばずに撮影することができます。
F5.6相当の明るさでは被写体の明るさ確保を必須になります。
感度を上げて撮れば?と思いますが、感度は全体的に上がってしまいます。感度を上げることで玉ボケが周辺の露光が上がり不自然な玉ボケになることもあります。
点光源の真ん中の明るい部分が大きくなり、輪郭のようにはっきりしてきてしまいます。
つまり、STF特有のボケ感が得られなくなってしまうことがあります。
そのためにも、背景の露光は落として、被写体の明るさを担保するという対策が必要になります。
物撮り
こちらのレンズはレンズの一番手前のダイヤルを回すことでマクロ撮影が可能です。
マクロレンズというと1:1で出せるようなダイナミックな表現を思い浮かべますが、これはハーフマクロくらいだと思います。
しかし、100mmでこれだけ寄れるレンズは重宝されます。
また、背景に抜けがあるとボケ感もふんわり綺麗になるため、物撮りをする方にもおススメできます。
まとめ
今回ご紹介したSEL100F28GMはSTFという技術を使うことできれいなボケ感を演出できる素晴らしいレンズでした。
その一方で明るさがF5.6相当になってしまうため、環境面では難しいレンズではあります。
個人的にはグラデーションになるボケ感が「きれい」とは思いますが、「正義」ではないと思っています。
STFという技術を使うために明るさを犠牲にしたり、また作品を通してこのボケ感でいくというのは至難の業です。
輪郭のある玉ボケも嫌いではないですし、明るさを優先したいシーンもあります。
この記事がレンズ選びの参考に少しでもなれば幸いです。
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